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稲城の里山と史蹟を守る会

2008年10月25日(土)「稲城南山問題シンポジュウム」報告

参加者会場がいっぱいになり盛会でした。


「内容」
?開会のあいさつ  十菱駿武先生(山梨学院大学教授,文化財保存全国協議会代表委員)* 都下のあきる野市の横沢入り緑地、青梅の永山丘陵緑地など、都下の大規模な開発は次々に中止、里山保全が実現していること紹介して、このような経済状況下で、稲城南山のような大規模に里山を開発しようという事業は、時代にも、たいへんそぐわないものだ。多摩ニュータウン開発で、貴重な縄文時代の遺跡が失われたが、南山は多摩丘陵に残された最後の貴重な遺跡といえる。全文協としても保全に力を尽くしたい。

?パネラーの先生の報告 岩本陽児先生(和光大学准教授・イギリス環境史専門)* 本来の「コモン」が何故、「コモンズ」と複数形で言われるようになったのかを歴史的に遡って解明。
英国で発祥した「コモン」=村落共同体の入会権。日本では入会地→日本的言葉「コモンズ」になり、“実体概念”から“期待概念”に変容。南山コモンズ案は、実体がなく期待にとどまっているのでは?
勅使河原彰先生(全文協常任委員・考古学・縄文時代著書多数)
* 縄文時代は、新石器時代に日本列島に開花した地域文化。
* 狩猟活動、漁労活動、植物採取の、里山の自然と調和、里山の自然を管理した暮らしをしていたということでは、世界的にきわだったもの。里山を最初に活用した日本人。
* 南山の縄文遺跡とオオタカ=里山と縄文人のかかわり、土坑が大量に発掘されていることから狩猟活動を知りうる重要な遺跡。
渡辺賢二先生(明治大学非常勤講師)* 南山の原始社会から現代までの歴史がたどれる文化財が存在している稀有なところ。南山は稲城に残された最後の文化財といえる。
縄文時代=石器・土器、住居跡、土坑が発掘。
奈良・平安時代=都と府中の国府を結ぶ官道。「大道」「打越」の地名が残る。
鎌倉・戦国時代=鎌倉道、山城が連なり、重要な軍事拠点。多摩川対岸の深大寺城跡は国文化財指定に。
江戸時代=将軍お狩り場、江戸名所図会(江戸末期のベストセラー)にも書かれる。
縄文時代・古代・近現代と全歴史にかけて貴重な歴史的遺産の宝庫だ。

?質問と意見交換* 南山の自然を守る会の会員から、里山保全が可能ならば、力を合わせてがんばりたいが、その条件がないと判断して、次善の策で「コモンズ案」を組合と協議して、少しでも余計に自然が残ればと考えている。里山丸ごと残せる良い工夫はあるのか?地権者の土地を買い上げる財源はどう考えているのか?」
* この意見をめぐって、さまざまな意見が出されました。
「地権者の40%以上が、三井不動産とよみうりランドで、地権者の負担で大手企業のために開発することになる」「組合が新聞へのコメントで、20億円の債務処理策を示してほしい・・・といっているが、開発補助の20億を当てることはできないのか?」勅使河原先生「埼玉では県が緑地指定して買い上げている。地権者から一度に買い上げ要求が出てくるのではなく、一時に莫大な予算が必要ということにはならない。企業用地は借り上げにしている。」「このまま開発が進行すれば、地権者は、売れない不良宅地を抱え、莫大な事業の負債が孫子の代まで降りかかってくる危険がある。里山保全は地権者の財産・暮らしを守ることにもなる。」「宮崎駿プロの平成ぽんぽこ狸騒動のアニメに感動して稲城に越してきた。市議に、世紀の愚策に協力するのか?問いかけたい。宮崎駿監督にもコメントをもらう要請をしたい。」
 最後、お互いに一致点を見つけて、南山の里山を守るために、力をあわせていこうということになりました。

?市村代表のまとめの挨拶
 里山募金、南山アピール?、住民投票条例署名収集人登録の訴えがされました。
                                  (以上)
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